こんにちは、木多崇将です。
今日は、
「なぜ、僕が農業を始めたのか?」
「なぜ、僕が、
自然農法を教えたいと思っているのか?」
というところを話しておきたいと思います。
なぜなら、僕の本質的な思い、
価値観を理解しておいて欲しいからです。
…
僕は小さい頃から
自然の中で遊ぶのが好きな子供でした。
特に、田舎のおじいちゃんの家に行って、
近くの池や田んぼや川で、ザリガニをとったり、
ドジョウとったり、ミズカマキリをとったり、
様々な生き物をとって遊ぶのが、大好きな子供でした。
僕の小さい頃は、
まだ多種多様な生き物がたくさんいて、
僕にはその生き物たちがキラキラ輝いて見えて、
宝石のように見えて、一日中遊んでいても
飽きることがありませんでした。
しかし、僕が小学生だった、
ある日、ショッキングなことが起こりました。
家の前を流れていたきれいな川が、
いきなりドブ川になったんです。
原因は、中華料理屋の排水でした。
僕が少年期を過ごした1980年代は、
高度経済成長時期であり、かつ、
自然破壊も進んだ時代でした。
僕は、生き物が絶滅していくのを、
リアルタイムで感じてきた世代です。
僕は、「なんとかしたいな・・・」
と思いつつも、子供だから何もできず。
しかも、周りの大人や同級生は、
全く無関心だったので、僕は一人で、
密かに心を痛めていました。
それから、僕は進学と就職のために、
関西、主に大阪に20年くらい住んでいました。
ただ、都会暮らしが長くなるにつれ、
自然が恋しいというか、環境保護活動みたいな
ことがしたくなってきたのです。
だから、僕は2017年、奥さんと一緒に、
まだ自然が残っている岡山に戻ることを決めました。
畑とか山林がついている古民家を借りて、
無農薬での野菜作りを始めました。
僕が野菜作りを始めた理由は主に3つです。
1つ目は、
将来の食糧危機を見据えて、自分で、
野菜など自給自足ができるようになっておきたい。
2つ目は、
アトピー持ちの奥さんに、いずれ生まれてくる子供に、
安心、安全な野菜を食べさせてやりたい。
3つ目は、
「昔の田舎のように、
たくさんの生き物がいる世の中を取り戻したい」
という理由です。
僕は、希望に満ちて、農業を始めました。
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■肥をやらにゃー、野菜は育たん!
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今、世間では、食料価格高騰もあって、
農業が、かなり注目を集めるようになっています。
今では、youtubeで、
自然農法を教えている人もたくさんいます。
しかし、僕が農業を始めた当初は、
まだまだ、その機運はありませんでした。
周りに、
無農薬栽培している人など全くいなかったのです。
それどころか、
「肥料と農薬を使わないと野菜は絶対に育たない!」
という農家の人ばかりで、僕は、
独学で農業を始めざるを得ませんでした。
僕は、本の情報を頼りに、
手探りでやりはじめたんですけど、当然、
そんな簡単なことではなく、失敗、困難の連続でした。
例えば、「畝」とか、「圃場」とか、「育苗」とか、
農業はかなり専門用語が多く、話がなかなか
理解できませんでした。
例えば、種をまいたけど、発芽しない失敗は、
軽く100回以上を超えると思います。
(ニンジンの発芽はとにかく難しい)
例えば、大豆をまいたけど、水分不足のために、
まったく実がつかないこともありました。
例えば、間引き、芽かき、整枝という作業をしないと、
トマトとか大きな実がなりにくいということが
あるのですが、それを知らずに失敗したりとか。
とにかく、誰からも、何も教えてもらえなかったので、
僕は、素人がするような失敗を、すべてしたのでは
ないかと思うくらいです。
僕の失敗の中で、一番の失敗と言うか、
「この思い込みのために、
無駄な遠回りをしてしまった」
と思うことがあります。
それは、
【野菜が育つには、
肥料が必要であるという思い込み】
です。
例えば、ちょと農業をかじったことがある人は、
「野菜の育成には、チッソ、リン酸、カリウム。
この3大栄養素が必要です」
ということを聞いたことがあると思います。
この格言を信じて、一般人、農家の人も含め、
95%の人は、野菜の育成には肥料が必要と
思い込んでいます。
この常識、思い込み、固定観念は、
一度、入ってしまうと取り除くのはかなり困難です。
なぜなら、人間は食べ物から栄養を取らないと、
生きていけないからです。
だから、
「当然、植物にもたっぷりと肥料が必要である」
と、どうしても同じに考えてしまうのです。
もちろん、僕も
「肥料による栄養素がないと、野菜は育たない」
と思い込んでいたのです。
しかし、農業でいうところの肥料は、
【人間でいうところの
ステロイド(成長ホルモン)(筋肉増強剤)】
に、近いものです。
例えば、アメリカのボディービルダーの多くは、
ステロイドを使っていると言われています。
確かに、ステロイドを使うと、
短期間で、ものすごく大きな筋肉が付きます。
野菜も同じで、チッソ、リン酸、カリウムなどの
肥料を与えると、びっくりするくらい早く、短期間で、
大きくなるのです。
成長が早ければ、夏野菜など、いち早く収穫できます。
嬉しいことなので、当然、農家のおじいさんは、
せっせと肥料を与えるのです。
しかし、ステロイドにも、肥料にも、
大きな副作用があります。
例えば、人間がステロイドを使うと、肝機能障害、
ガンなどの病気を引き起こすと言われています。
実際、ステロイドの過剰摂取で、
多くのボディービルダーが死んでいるのです。
野菜の肥料も同じく害があります。
肥料を過剰に与えてしまうと、
病気になりやすくなったり、
虫に食われやすくなるのです。
現代農業では、この病虫害を抑えるために、
たくさんの農薬を使っています。
ただ、人間が、いくら薬を飲んでも、
ステロイドをやめないと病気が治りようがありません。
同じように、野菜に肥料を与えている限り、
病害虫をなくすことは、不可能なのです。
でも、多くの農家は、有機肥料、化学肥料を問わず、
肥料をやめる発想が、根本的に一ミリもありません。
なぜなら、
「肥料が無いければ野菜は育たない!」
という強い洗脳がかかっているからです。
だから、一般農家は、ガンガン肥料を与えて、
病気を抑えるためにガンガン農薬も使うのです。
ただ、これは根本的な解決になっていません。
だから、今、農薬耐性の虫や病気が
ドンドン出てくるようになり、比例して農薬の強度や、
頻度がドンドン高くなっているのです。
その結果、
深刻な土壌汚染、水質汚染が起こっているのです。
今の肥料、農薬に頼る農法を続ければ、
地球が持ちません。
今後、100年も続けられるわけがないのです。
ただ、偉そうに言っているんですけど、僕自身も、
「肥料がなければ野菜は育たない」
と思い込んでしまっていました。
だから、市販のボカシ肥料というものを
買って使ったり、自作をしたりして使っていました。
すると、当然ながら、虫にやられまくっていました。
当時の僕は、無農薬だけは徹底しようとしていたので、
大きな虫は、一匹ずつ手でとって駆除していました。
ただ、アブラムシは、あまりにも数が多すぎる。
しかも、潰すとさらにウィルス病が
広がると本に書いてあり、困り果てたりしていました。
また、最終的に、何を血迷ったのか、使わないと
決めていた化学肥料も使ってしまったこともあります。
化学肥料を使えば、野菜の自給自足など不可能です。
僕は、初心を忘れてしまった罪悪感、
自己嫌悪を感じてしまい、野菜作りをはじめて
4年目、5年目あたりは、
「もう、やめてしまうかな・・・」
という状態になっていました。
農業にまったく希望を見いだせなくなっていました。
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■松がなけりゃー、タケは生えん!
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しかし、その後、
大きな転機、大きな発見がありました。
そのきっかけは、「マツタケ」です。
そう、今では、希少になり、
庶民には手が出なくなった高級なキノコです
このマツタケに関する話は、すごく長くなるので、
簡単に話します。
僕が今の家に引っ越して数ヶ月経った後、
ある放送が流れました。
「松枯れ対策のために、
ヘリコプターで農薬の空中散布をします。
作業中は外出しないで下さい」
まさに寝耳に水でした。
僕は、無農薬の野菜作りがしたくて、
今の家に引っ越したのです。
それなのに、空から強制的に農薬をまかれる。
空からまかれた農薬が畑にも入るかもしれない。
もし、事前に知っていれば
絶対に、この地区に引っ越ししませんでした。
僕は、すぐさま、農薬空中散布の中止を訴えました。
そして、その訴えのために色々調べる中で、
「なぜ、そもそも
農薬の空中散布が行われているのか?」
という理由がわかりました。
僕の住んでいる地区では、
昔、たくさんのマツタケがとれたそうです。
「仁堀マツタケと言われて有名だったんだぞ」
と、地域の老人たちは目を細めて言います。
しかし、1960年頃から、地元地区だけではなく、
全国的に、パタッと、マツタケがとれなくなりました。
みんなが困り果てている時、ある専門家が、
「マツタケがとれなくなったのは、
マツクイムシが原因だ」
と言い出しました。
それならばということで、この地区だけじゃなく、
全国的に、農薬の空中散布が行われたそうです。
しかし、結局のところ、
現在ではマツタケがとれなくなったのは、
マツクイムシが原因ではなかったのです。
高度経済成長時期になり、
誰も山の手入れをしなくなって、
マツタケが生えるアカマツの木が、
弱ってしまったからという説が、今では有力です。
だから、農薬などまいても、
まったく無意味どころか、
環境を汚染しているだけだったのです。
しかし、こともあろうか、僕の地域では、
この無意味な農薬の空中散布を、
今でも続けているという馬鹿なことをしていたのです。
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■すべての植物は、菌との共生で育つ
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だから、僕は、
この農薬の空中散布をどうにか止めたいと思い、
マツタケの生態についてもかなり調べました。
このマツタケの生態を調べている時に、
無肥料で、野菜が育てる方法がわかったのです。
なぜ、無肥料で野菜が育つのか?
簡単に、一言でいうと、
【すべての植物は、菌との共生で育つ】
ということなのです。
自然を見ればわかりますが、山々の木々は、
原っぱにおおい茂る雑草は、肥料など
与えられていません。
なのに、病気にもならず、
虫にも食われず、大きく育っています。
自然の植物は、肥料などいらないのです。
なぜなら、菌との共生関係で、
栄養を、供給してもらっているからです
アカマツとマツタケの例で説明します。
アカマツは、栄養のないやせ地、
乾燥した山頂の岩だらけの場所でも育成できます。
むしろ、そういう過酷な場所でこそ、
アカマツの木は元気に育つのです。
なぜ、アカマツは栄養不足、
水分不足の場所でも育つのか?
それは、
アカマツとマツタケが共生しているからです。
アカマツは、光合成で得た糖分を、
根っこに寄生しているマツタケに与えます。
マツタケ菌は、糖分をもらって元気になり、
「じゃあ、お返しだ」と言わんばかりに、
菌糸を土の中を、遠くまで伸ばしてアカマツに必要な
栄養素や、水分をとってきて、供給するのです。
だから、アカマツは、一見、
栄養も、水分もがないようなところでも育つのです。
そして、これは、アカマツと、
マツタケに限ったことではないのです。
例えば、野菜のナスなんかも、根本的には、
菌と共生して育つものなのです。
一般的に、ナスという野菜は、
たくさんの肥料、たくさんの水が
必要だと言われています。
僕も、以前までは、
ナスを育てるのに苦労していました。
しかし、現在、このナスを完全無肥料で、
かつ、水やりすらやらないでも育てられる
ようになりました。
大事なことは、肥料を与えてしまうと、
野菜と菌の共生関係が壊れてしまうということです。
野菜にとってみれば、
すぐ近くに栄養があれば、簡単に、吸えてしまいます。
だから、肥料を与えると、
ナスは菌と共生しなくなるし、さらに、
根っこも長く伸ばさなくなるのです。
だから、肥料を与えた野菜はすぐに枯れたりします。
逆に、自然農法の野菜は、根をしっかりと伸ばそうと
するので、トマトなどがが秋口まで取り続けることが
できたりします。
ちょっと話が専門的になりすぎているので、
これ以上やめておきます。
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■今は、日本を変える大きなチャンス!
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とにかく、僕は、僕は6年の歳月をかけて、
自分が理想としていた無肥料、無農薬の農法。
また、市販の種や、
市販の資材なども最終的には使わなくても良い。
究極、ゼロ円を目指せる農法を、
確立することができたのです。
(現時点では、ビニールマルチなど使っています。
が、なくても育てることは不可能ではありません)
この自分が試行錯誤の末に確立した農法を、
みんなに教えたいのです。
なぜなら、それによって
日本の食料自給率の改善ができたり、
これ以上の地球環境の汚染が少しでも
食い止められると思っているからです。
今、食料高騰、インフレが現実になり、
大衆の意識が変わりつつある今、
大きなチャンスでもあると思うからです。
ただ、1つ、
あなたに知っておいて欲しいことがあります。
僕の初心です。
僕には、地球の生態系を守りたい気持ちがあります。
僕は、小学生の頃、フナが入れ食い状態だった池が、
中学生になったら一匹もいなくなるという悲しい経験を
してきました。
何より悲しかったのは、
この思いに誰も共感してくれなかった。
周りの大人とか、同級生が、
とにかく、生き物に、完璧無関心だったことです。
実は、食糧危機をなんとかしたいとか、
言っているんですけど、僕の心の中では、実は、
それ以上に、生態系を守りたいという気持ちが
あります。
ただ、それこそ、「生態系を守りましょう!」
なんて言っても、誰も、見向きもしてくれないことが
わかっています。
だから、
「食糧危機のために」
と言っているところがあります。
我が家では、現在、まったく農薬を使っていません。
だから、庭や畑には、
ドンドン生き物たちが増えてきています。
例えば、トンボ、チョウチョ、トカゲ、サワガニ、
イモリ、ミズカマキリ、ゲンゴロウ。
例えば、トンボ1つにしても、ちっちゃなトンボから、
大きなトンボまで種類がグーンと増えました。
まだ、最悪ギリギリ今なら、
生態系は、取り戻せる、守れるはずだと信じています。
今、1歳10ヶ月の子供は、
たくさんの生き物たちと戯れています。
特に、我が子は、カエルが大好きです。
カエルのことを「アプー」と呼んで、
楽しそうに戯れています。
子供の笑顔を見て、僕のやってきたことには、
今やっていることは、これからやろうとすることは、
価値あることだと感じています。
おそらく、この僕の価値観に、完全に、
共感してくれる人は、とても少ないと思います。
だから、今後、この話はしないと思います。
ただ、もし、ここに共感してくれる人がいてくれたら、
僕は何より嬉しく思います。